自律神経の乱れ(自律神経機能不全)
「検査では異常なしと言われたのに、体調がおかしい」—そんな未病・機能低下の段階で、自律神経(交感神経/副交感神経)のアンバランスが背景にあることは少なくありません。
自律神経はホメオスタシス(恒常性)を担い、体温・血圧・消化・呼吸・睡眠などを無意識下で調整しています。ストレス(精神・身体・化学)負荷が続くと自律神経のトーンが偏り、さまざまな不定愁訴として表面化します。
こんな症状はありませんか?
不眠(入眠困難・中途覚醒・睡眠の浅さ)、日中の倦怠感
頭痛・めまい・耳鳴り・天気痛、動悸・息切れ、胸やけ・吐き気
便秘/下痢、腹部膨満、肌荒れ、冷え・むくみ
意欲低下・不安感の持続、集中力低下 …など
※急激な症状の悪化、発熱、神経脱落所見(筋力低下・感覚消失)、胸痛・失神などは医療機関での評価を推奨します。
自律神経とは(交感神経・副交感神経の役割)
交感神経:活動・緊張モード(血圧上昇、心拍増、末梢血管収縮など)。過剰だと不眠・筋緊張・胃痛・高血圧傾向。
副交感神経:休息・回復モード(消化促進、吸収、内臓機能賦活)。過剰だとだるさ・低気力・過眠、低下するとイライラ・入眠困難。
支配の起始:交感=胸腰髄(T1–L2)/副交感=脳幹(迷走神経)・仙髄(S2–S4)。
この配列から、頚椎・骨盤は副交感系、胸椎・腰椎は交感系の影響が出やすいと臨床的に考えられています。
なぜ乱れる?(原因)
① 生活習慣ストレス
長時間の覚醒刺激(就寝前スマホ・仕事)、不規則な食事・過食、運動不足、アルコール・カフェイン過多などで交感神経過緊張が持続。睡眠の質低下→回復不全→不定愁訴の悪循環へ。
② 背骨・骨盤の機能不全(サブラクセーション)
姿勢不良・反復負荷で脊柱分節の**可動性低下/過可動(機能的不全)**が生じると、体性‐自律神経反射を介して交感神経トーンが亢進しやすいと考えられます。臨床的には、上部頚椎・胸椎・骨盤に問題を認めるケースが多い所見です。
上部頚椎と自律神経(臨床的要点)
環椎(C1)・軸椎(C2)は自由度が高く、不安定化で深部筋(小後頭直筋など)や硬膜連結に負荷が波及することがあります。
頚静脈孔近傍を迷走神経(副交感)・舌咽神経が通過し、前方には頚神経節(交感)も存在。
この解剖学的近接性から、上部頚椎の機能不全が自律神経のバランスに影響しうると臨床的に推測されます。調整は安全域での精密アジャストメントが前提です。
当院のアプローチ
(カイロプラクティック × オステオパシー)
カイロプラクティック
アジャストメントで脊柱・骨盤の**関節機能(可動性・位置覚)**を正常化
上部頚椎/胸椎/骨盤帯のキーレベルに重点を置き、体性‐自律神経反射の過緊張を鎮静化
姿勢連鎖(Kinetic Chain)と呼吸運動の再学習で再発予防
オステオパシー
筋膜リリース/内臓マニピュレーション/頭蓋仙骨療法で体液循環(血流・リンパ・脳脊髄液)と自律神経調律を補助
横隔膜・肋骨・迷走神経ルートの機能改善で**休息モード(副交感)**への切り替えを促進
局所ではなく**全体治療(Holistic)**でホメオスタシスを底上げ
目的は「治す」ことよりも、“治れる状態”に回復させること。
すなわち睡眠の質向上・回復力(自然治癒力)の再起動が核心です。
生活アドバイス
睡眠衛生:就寝90分前からブルーライト・仕事をOFF/同時刻就寝起床/ぬるめ入浴
呼吸:鼻呼吸・長い呼気のペース呼吸(4–6秒吸気/6–8秒呼気)で迷走神経トーン↑
軽運動:ウォーキング・関節モビリティ・ストレッチ(とくに胸郭・骨盤帯)
栄養:過度のカフェイン・深酒・就寝前過食を控える
環境:就寝環境の温湿度最適化、寝具の見直し(頚椎のニュートラル)