姿勢の歪み(ストレートネック)
ストレートネック、O脚、X脚、側弯などの姿勢・骨格の歪みには、**「構造的」と「機能的」**という2つの異なる要因があります。
一見同じように見える歪みでも、原因の性質によってアプローチが大きく変わります。
構造的な歪み(Structural Deformity)
骨格の形状そのものに問題があるタイプで、
先天的な骨形成異常、外傷後の変形、退行性変性(加齢による骨の変形)などが該当します。
この場合は骨の構造自体が変わっているため、徒手的施術では形状を戻すことはできません。
したがって、カイロプラクティックやオステオパシーでは適応外となります。
ただし、構造的な問題によって二次的に生じた**機能的アンバランス(筋緊張・関節可動性の低下・代償姿勢)**は改善対象となります。
機能的な歪み(Functional Imbalance)
骨そのものに変形はなく、
不良姿勢
筋バランスの崩れ
関節可動域の制限
痛みによる逃避姿勢
習慣的な動作パターン
などによって起こるものです。
こちらはカイロプラクティックおよびオステオパシーの適応範囲であり、
施術により改善・緩和・再発防止が十分に期待できます。
ストレートネック(Straight Neck / Forward Head Posture)
概要
本来、頚椎(首の骨)は前方に緩やかなカーブ(生理的前弯)を描いています。
この前弯が失われ、まっすぐ、もしくは逆方向(後弯)になってしまった状態をストレートネックと呼びます。
主な原因
むち打ち(頸部過伸展外傷)による筋・靭帯損傷
長時間のスマートフォン・PC作業(前方頭位姿勢)
デスクワークに伴う猫背・骨盤後傾
胸鎖乳突筋、斜角筋、頸長筋などの過緊張
頚椎中部(C4〜C6)の可動性異常(ハイパーモビリティ/ハイポモビリティ)
カイロプラクティック的アプローチ
関節機能の評価:C4〜C6分節の可動性、上部頚椎(C0〜C2)のバランス確認
軟部組織テクニック:胸鎖乳突筋・斜角筋・頸長筋・僧帽筋上部線維の過緊張を緩和
アジャストメント(調整):上位・下位頚椎の可動性を整え、姿勢軸を回復
アクティブケア指導:顎引き運動、胸郭開放ストレッチ、骨盤前傾維持姿勢の練習
オステオパシー的アプローチ
**頭蓋仙骨リズム(Cranio-Sacral System)**の調整で自律神経バランスを改善
胸郭・横隔膜・骨盤連動性を高め、全身姿勢軸を再統合
**筋膜ライン(Deep Front Line/Superficial Back Line)**を利用し、
全身的な前後の張力バランスを再構築します。
姿勢連鎖による影響
ストレートネックは首だけの問題ではなく、
骨盤の後傾 → 背中の後弯(猫背) → 頭部前方突出という座位姿勢連鎖によって起こります。
つまり「原因」は腰・骨盤帯にあり、「結果」として頸部に現れます。
カイロプラクティックでは結果(症状)だけでなく、**原因(運動連鎖の起点)**に着目して全身を調整します。